2009年8月投開票の衆議院議員総選挙を経て与党となった民主党が、新設した行政刷新会議の下で行った、各省庁からの概算要求の再評価。行政刷新会議は「国民的な観点から、国の予算、制度、その他国の行政全般の在り方を刷新するとともに、国、地方公共団体及び民間の役割の在り方の見直しを行う」機関であり、事業仕分けは、従来まで財務省の専管事項であった予算配分に、民意を導入する狙いがある。その目的は、(1)既存の予算であっても、そもそも必要な予算なのかゼロベースで見直す、(2)極力現場の目線で予算執行の実態を踏まえる、(3)予算編成の透明性を徹底、(4)全府省政務三役の一致協力―政治主導の実現、(5)「しがらみ」から予算編成作業を解き放ち、国民みんなの力を結集、することにある(行政刷新会議「事業仕分けを含む今回の歳出見直しの考え方」から)。仕分けの現場は公開され、インターネット中継やテレビのニュース報道を前に国民の関心を高めたが、科学技術予算や福祉関連予算の廃止や大幅カットに対する学界や福祉の現場からの反対表明が相次ぎ、仕分け対象とした事業の選定の是非や、総論と各論の間での調和の困難さが議論となった。10年度予算概算要求については、対象として447事業を決定し、約7500億円の圧縮につながったが、3兆円規模の削減という当初の目標にはほど遠いものだった。