2010年9月、日本振興銀行の破綻申請を受け、金融庁は預金保険制度発足以降初めてのペイオフ発動。ペイオフとは、銀行が経営破綻した場合に、現在、預金者1人当たり元本1000万円までの普通預金や定期保険などを定額で保護する制度(利息分は枠外)。1971年に発足した預金保険制度の下で規定され、預金取扱金融機関は保険対象の預金残高に一定の料率を掛けた保険料を支払い、預金保険機構に強制的に加入させられる。当座預金や無利息型普通預金など決済用預金は全額保護、また外貨預金や譲渡性預金は保護の対象外。日本振興銀行のペイオフ発動は、1000万円を超える預金者の比率が3%程度と微小である上、振興銀の取り扱う預金の種類が運用目的の定期預金だけであり、決済用預金を扱っていなかったことが決断理由。破綻金融機関処理として、預金保険機構が預金者に直接保険金を支払う保険金支払方式が採用された背景には、90年代後半からの日本の金融システム不安が終息してきたことがある。