景気は、リーマン・ショック以降、景況感の回復こそ乏しかったものの、アジア向け輸出を中心とする外需の改善から拡張期を持続していたが、2011年3月の東日本大震災以降、急激に悪化し、落ち込み幅はリーマン・ショックを上回った。被災地周辺製造業のサプライチェーン(部品供給網)の寸断と、東京電力福島第一原子力発電所事故による電力供給悪化が供給側要因として、また需要側要因としては、被災地以外での自粛ムードによる消費活動の低迷が背景にあった。
その後も、全国の原子力発電所の発電停止により電力供給の悪化懸念は解消されていないが、サプライチェーンは他地域での生産により補填され、自粛ムードも徐々に解消し、ショック的な落ち込みからは急回復した。ただし、タイでの日系製造業企業の洪水被害や欧州危機に伴う急激な円高が足かせとなり、景気拡張の持続性は必ずしも強くない。