東日本大震災以降、輸出額から輸入額を引いた貿易収支が赤字基調にある。輸出については、震災後、自動車や半導体電子部品などの工場の被災やサプライチェーン(部品供給網)の寸断で生産活動が鈍化し減少傾向を示し、その後、いったん供給網の復旧により増加に転じたものの、欧州危機やタイ洪水による日系中小企業への影響から増減を繰り返している。その一方、輸入では、世界的なエネルギー価格の上昇を背景に、石油製品や液化天然ガスの輸入増加、原発事故による電力不足を受け火力発電所などでの燃料需要の高まりが、増加傾向を生んでいる。貿易収支は、海外需要の減退や円高の進行による不透明感があり、赤字基調が続くと見られる。財務省の貿易統計(通関ベース)によると、2011年の暦年ベースの貿易収支は約2兆5000億円の赤字となった。第2次石油危機後の原油価格高騰で輸入額がかさんだ1980年以来31年ぶり。