2011年10月21日、政府は第3次補正予算にも盛り込まれる円高対策を閣議決定した。強い経済の構築のため、産業の空洞化を防ぐ目的で、国内に工場や研究拠点を立地する企業への補助金を5000億円まで拡充する。また、円高メリットの活用のため、為替介入の資金を管理する外国為替資金特別会計(外為特会)にあるドル資金をもとに、円高対応緊急ファシリティ(基金)を作る。基金から国際協力銀行などを通じて、低利で民間企業に融資し、日本企業の海外企業の買収や資源・エネルギー権益の買収に利すると同時に、手持ちの円資金をドル資金に替えることにより円安方向へドル・円レートを導く、等々。もっとも、1日50兆円になるドル・円の取引規模に対して、企業の手持ち資金のドル転換は最大数兆円と見られるため、ドル・円相場を動かす力としては不十分。また、財務省財務官と日本銀行理事がトップ会談を公然と行った2011年9月18日の口先介入、あるいは同年10月31日に政府・日銀が自らの正体を隠して介入した覆面介入に8兆円前後を注ぎ込んだことからも、介入政策の手詰まり感は消えない。