東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う損害賠償を支援する措置、また今後の事故に備えるための枠組み。制定された「原発賠償支援法」は、原子力損害の迅速な賠償支払いと電力の安定供給の二つを目的とする。原子力事業者の拠出する負担金で設立された「原子力損害賠償支援機構」が、事故を起こした事業者に対して融資や資本注入を行い、賠償責任を果たさせる。1961年に成立した「原子力損害の賠償に関する法律」は、賠償責任は過失の有無にかかわらず事業者が無限に負うと規定している(ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときはこの限りでないともあり、責任の範囲に異論の余地もある)が、賠償が政府保証契約でカバーされる1200億円を超える場合、政府が必要な援助を行うとしている。「原発賠償支援法」は、定義のあいまいな援助を具体化したもの。政府は支援機構に対して交付国債を交付するかたちで、公的資金を投入する。交付国債とは、国が現金を払う代わりに発行する債券。受け取った側が必要な時にその都度、現金化できるが、利子が付かず、発行時に全額予算計上する必要がないため、国の財政悪化を当面防ぐことができる。東京電力は、賠償支払いの原資を確保するため、支援機構に対して1兆円強の支援を要請したが、8909億円で決着した。