所得が少なく生活が苦しい人の割合を指す相対的貧困率が、厚生労働省「国民生活基礎調査」の2010年調査で16.0%となり、1985年以降最悪の水準になった。相対的貧困率とは、すべての国民を所得順に並べた際の、中央の人の所得水準(メディアン)の半分を貧困の境界として、貧困線に満たない人の割合を指す。所得分布が不平等になるほど、相対的貧困率は高まる。
生活保護の受給者数・世帯数も、戦後の混乱の余波で最多だった1951年度を超えた。50年に制定された生活保護法に基づき、厚生労働省が年齢や世帯構成、居住地域などに応じて決めている最低生活費から、給料や年金などの収入を差し引いた額が支給されている。背景には、基礎年金や最低賃金より生活保護費が高い逆転現象もあり、職業訓練中の失業者に生活費として月10万円を支給する求職者支援制度も2011年10月に始まった。生活保護費は国が4分の3、自治体が4分の1の費用を負担しており、財政負担が大きくなっている。
一方、最低賃金法に基づく最低賃金の引き上げ額は、小幅に抑えられた。最低賃金は法律で保障される時給額であり、毎年夏に、労使代表と公益委員の三者で構成する中央最低賃金審議会が、全都道府県を経済状況に応じて分けた四つのグループごとに引き上げ額の目安を示し、それをもとに各都道府県の地方最低賃金審議会が具体的な額を示し、各労働局長が10月ころに決める。11年に、最低賃金が時給換算した生活保護費を下回った自治体としては、北海道・神奈川・東京・埼玉・宮城・大阪・広島・兵庫・京都の9都道府県がある。