精密機器メーカーのオリンパスによる、いわゆる「飛ばし」による粉飾決算の表面化。損失補てんの手段としての飛ばしとは、含み損を抱えた金融商品を外部に売却し、損失の表面化を免れること。決算期の異なる企業や関係会社に、時価よりも高い値段で売却して損失を隠す。オリンパスは、2001年3月期からの時価会計制度の導入にあたり、1990年代の財テク失敗による1000億円を超える含み損を粉飾する目的で、ヨーロッパ・シンガポール・国内の各ルートを通じて、外銀口座や投資ファンドを使って含み損を簿外に分離した。その際、含み損を抱えた金融商品とファンドが発行する債券を簿価で等価交換し、その上で、帳簿外の損失は、イギリスの医療機器メーカー・ジャイラスの買収、資源リサイクルを手掛けるアルティスなど国内3社の買収の際の助言会社への手数料や買収額の一部で穴埋めした。歴代3社長はこれらの損失補てんを認識していたとされる。大王製紙の前会長による巨額借り入れ事件と並び、日本企業の脆弱(ぜいじゃく)なコーポレート・ガバナンス(企業統治)をあらわにした事件。