人事院は、法律に従って、国家公務員の一般職職員の給与や勤務条件の改善、および人事行政の改善に関する勧告を行う。一般的には、勧告のうち、給与に関する勧告を人事院勧告と呼ぶ場合が多い。国家公務員は争議権や給与交渉などの労働協約締結権がなく、労働基本権に制約が課せられている。給与水準を見直す措置として、民間給与を参考に、人事院が給与基準を勧告している。民間企業の調査では、企業規模(事業所規模)が50人以上の正規雇用労働者の給与を参考にしていることから、中小零細企業の実態を反映していないとの見方もある。近年、デフレ経済の継続から、民間企業より高めとなる給与水準に設定されてきたが、東日本大震災による復興財源の一部として、2012年4月から2年間平均で7.8%の給与引き下げが実施され、民間より3万円近く低い水準となっている。国家公務員の給与水準をどの雇用階層を基準に決定するのかは、その職務内容により決定されるべきであるが、やや感情論で判断される傾向もある。