法人税は企業の所得に対してかかる税金だが、法人税の負担を考える場合には国税の法人税だけでなく、地方税の法人住民税、法人事業税の税負担まで考える必要がある。また、地方で課税される分は自治体の裁量で独自の税率で上乗せされるため、都道府県ごとに税率は異なる。これを考慮したものが法人実効税率と呼ばれる。2014年3月時点の日本の法人実効税率は35.64%(東京都の場合)と、ドイツ(29.59%)、イギリス(23.0%)、中国(25.0%)に比べ高く、法人税率の引き下げが課題となっている。このため、安倍晋三内閣は2015年度の税制改正で2.51%の引き下げに踏み切った。ただし、実効税率1%の引き下げにより約4700億円の税収減となる。日本の財政状況を考えれば、法人税率を引き下げるだけでは財政再建の点で大きな問題となる。このため、現在は所得がゼロもしくはマイナスの赤字法人には法人税は課税されないが、これらの赤字企業も国や自治体が整備した公共財(インフラ)を利用していることから、事業規模に応じて課税すべきとする外形標準課税の対象を拡大すべきだとの見方が示されている。あるいは、消費税率の引き上げを実施し、財政健全化路線を踏襲していることを示すべきとの意見もある。