納税者に所得税法上の控除対象となる配偶者がいる場合に、一定額の所得控除が受けられる制度。対象となる配偶者の要件は、年間の合計所得金額が38万円以下であること。一般的に配偶者控除の条件が「年収103万円以下」とされているのは、税法上の所得の考え方と一般的な収入が混同されているからである。一般的に給与などの収入では必要経費(給与所得控除)が最低65万円認められている。したがって、38万円(給与の所得金額)+65万円(必要経費)=103万円(収入)となり、103万円を超えると配偶者控除の対象者とならなくなるのである。
この「103万円の壁」が女性の社会進出を阻むものであるとして、配偶者控除を見直し、女性が収入を気にせず働ける社会にしようとする見方が示されている。2014年11月に政府税制調査会が示した見直し案では、(1)夫婦で受けられる配偶者控除と基礎控除の合計額を一定にする、(2)配偶者控除の適用条件を妻の所得ではなく夫の所得にする、(3)配偶者控除の廃止、の三つが示されている。他方、女性の全てがフルタイムで働くことを望んでいるわけではないとして、見直しに反対する見方も多い。