消費全体に占める食費の割合のこと。家計の所得が増加するとエンゲル係数が低下するという状況を、19世紀の統計学者エルンスト・エンゲルがベルギーの家計支出から見出した。戦後を通じて低下してきた日本のエンゲル係数は2005年の22.9%を底に上昇傾向に転じ、14年以降は上昇幅が拡大している。これを受け、日本の家計の余裕度が低下しているのではないかという議論が起こっている。エンゲル係数上昇の原因としては、人口の高齢化による無職世帯の比率が34.1%に上昇していることがある。無職世帯のエンゲル係数は28.4%と勤労者世帯の24.2%や個人営業の26.9%に比べてかなり高い(16年家計調査)。また、共働き世帯の増加により消費単価の高い調理食品や外食の構成割合が高まっていることもエンゲル係数上昇の一因である。こうした社会情勢の変化により、従来のエンゲル係数と家計の余裕度との関係も変化している。