温暖化ガス削減を促進するために地球温暖化防止京都会議(COP3)で合意された制度の一つ。削減目標を上回った国は、超過分を他国に売却できる。EU(欧州連合)では、欧州連合排出権取引制度(ETS European Union Emissions Trading Scheme)を2005年1月に開始。製鉄所、セメント工場、ガラス工場、発電所など、域内1万2000の事業所に対して二酸化炭素(CO2)排出枠を割り当て、超過企業に対する罰則(07年末までに未達成企業には1トン当たり40ユーロ、08~12年の間は1トン当たり100ユーロ)を設けるとともに、個別事業所間の排出枠を取引するキャップ&トレード型排出権取引を開始した。これを受けてヨーロッパでは、ドイツの欧州エネルギー取引所、オランダの欧州気候取引所(ECX European Climate Exchange)など、各地で排出枠確保が必要な企業と余剰枠を抱える企業との相対取引が活発化している。アメリカでも環境対策に取り組む企業や州政府が増え、05年10月ころから同国唯一のシカゴ排出権取引所での取引高が急増した。日本では環境省の主導で自主参加型の排出権取引が05年度から開始されている。