世界銀行(World Bank、正式名国際復興開発銀行 International Bank for Reconstruction and Development ; IBRD)と並んで、第二次世界大戦後の国際金融を支えてきた機構。加盟国185カ国(2008年1月現在)、本部はアメリカのワシントン。1944年にニューハンプシャー州ブレトンウッズ(Bretton Woods)で開かれた国際会議で設立が決められたため、戦後の国際金融体制をブレトンウッズ体制と呼んだ。世界銀行が復興開発を目的とした資金供与を担当し、IMFは固定レート制と通貨安定化に必要な資金を融資する役割を果たしてきた。関税貿易一般協定(GATT ; General Agreement on Tariff and Trade)が戦後の貿易自由化を促進したことと併せて、戦後の貿易と国際金融のシステムをGATT・IMF体制とも呼ぶ。また、通貨危機に対して、危機発生国の通貨金融安定化を支援する融資プログラムを組むこともIMFの重要な役割。ただし、過剰な高リスク投資が原因で投資先国の株価や通貨が暴落しそうになっても、IMFの資金支援が株価と通貨の下落を防いでくれるならば、投資家はリスクを考慮に入れる必要がない。そのため、IMF支援がない場合に比べて高リスク投資が増え、結果的にはIMF支援では救済できないほどの通貨危機に発展するモラルハザードを引き起こすというジレンマを抱えている。通貨危機を未然に防ぐというIMFに期待される機能の強化のために資金量を現在以上に増やすべきか、モラルハザードを抑えるためにIMFの支援機能を縮小するべきか、というIMFの役割に関する議論が続いている。また、IMFにおける投票権は出資比率に比例するが、発足の経緯を反映して欧米、特にヨーロッパ諸国の出資比率が相対的に高く、ドイツ、イギリス、フランス、イタリアの4カ国だけで、アメリカ、日本をしのぐ投票権(発言力)をもつ。そこで、IMFの主導権をめぐって出資比率の見直しが検討された結果、2006年9月に中国、韓国、トルコ、メキシコの増資と、2年以内に出資比率の算出方式を見直すことが決まった。