南北アメリカ大陸およびカリブ海諸国34カ国(キューバを除く)による自由貿易圏構想。1994年1月に発効したアメリカ、カナダ、メキシコ3国間の貿易協定である北米自由貿易協定(NAFTA North America Free Trade Agreement)と中南米の自由貿易圏(FTA)を統合させようとするもの。発効すれば世界最大の自由貿易圏になる。この構想は、中南米支援策として90年にアメリカのブッシュ大統領(当時)が提唱したものである。各国はこれに応える形で、南米南部共同市場(メルコスール MERCOSUR 95年発足の関税同盟、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、ベネズエラ。準加盟国にボリビア、チリ、ペルー、エクアドル、コロンビア)、G3(メキシコ、ベネズエラ、コロンビア)、アンデス・グループ(Grupo Andino コロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビア、チリ)、カリブ共同体(CARICOM Caribian Community ガイアナ、ジャマイカなどカリブ地域14カ国)などの地域協定を準備した。アンデス・グループはブラジルに次いで2000年にアルゼンチンと特恵関税協定を結び、03年12月にはメルコスールとのFTAを締結。01年4月の米州首脳会議(カナダ・ケベックで開催)で、05年1月までの交渉完了と、同年12月までの発効でいったんは合意したが、その後、ブラジルを中心とする中南米各国がアメリカに対して有利な立場で交渉を進めようとしているため、08年3月現在合意されていない。そのためアメリカ政府は、ブラジルなどに対抗し、中南米各国と個別にFTA形成を進めている。