国内産業の保護を優先して、関税や輸入制限などを実施すること。2009年には、中国とアメリカおよびEU(欧州連合)との間で、01年に中国も加盟したWTO(世界貿易機関)を通じて、保護主義的措置の応酬が顕在化した。年8%のGDP(国内総生産)成長率を目標とする中国は、09年に新車販売台数でアメリカを抜き世界一、自動車生産で日本を抜き世界一となり、中国人民銀行の09年6月末時点の外貨準備高は初の2兆ドルを超えた。一方で中国政府は、景気対策としての政府調達における中国製品の優先購入を求める「バイ・チャイナ」の方針を出した。アメリカとEUが、中国政府が亜鉛やマグネシウムの鉱物資源の輸出を関税や数量規制により制限しているとWTOに提訴する一方、中国政府は、中国製ファスナーの輸入に対するEUの反ダンピング措置に対してWTOに提訴。またEUの欧州委員会は、中国の輸出品であるワイヤロープ、工業薬品グルコン酸ナトリウムの反ダンピング調査を行った。さらに、アメリカ政府は中国製タイヤへの特別セーフガード(緊急輸入制限)の発動を決定し、最大35%の関税上乗せを3年間実施することになった。また、中国製のシームレスパイプについて、反ダンピング関税と相殺関税の調査を開始したアメリカ政府に対して、中国政府は、アメリカ製の一部の自動車と鶏肉製品に対して、反ダンピング・反補助金調査の手続きを行い、アメリカ政府の中国製タイヤへの特別セーフガード発動を不当としてWTOに提訴し、中国製タイヤに関するセーフガード発動への対抗措置を採った。