サブプライムローン危機のあおりを受けて、アメリカ経済は2008年に国外からの対米投資を前年比70%強減らし、アメリカからの対外投資を約96%も減少させた。また、アメリカ財務会計基準審議会(FASB Financial Accounting Standards Board)は、09年1~3月期から時価会計の適用を除外される金融資産の対象を緩和する方針を決めた。同年3月には、ガイトナー財務長官が、(1)金融監視の一元化、(2)自己資本比率の引き上げ、(3)ヘッジファンドの登録義務化、(4)デリバティブ取引の監視枠組み創設、(5)ノンバンクの破たん処理法制の創設などを骨子とする金融規制改革案を発表。6月には正式に、バラク・オバマ大統領が、連邦準備制度理事会(FRB Board of Governors of the Federal Reserve System)の権限強化、金融監督協議会の創設、金融消費者保護庁の創設を内容とする方針を発表し、12月に、大手金融機関の破たん処理手続きの導入、消費者金融保護庁の創設などを柱とする金融規制改革法として下院で可決された。さらに、10年1月にはオバマ大統領によって、大手金融機関に対する(1)自己勘定による売買の制限、(2)ヘッジファンドなどへの投資禁止、(3)バランスシートの肥大化を防ぐための負債規模の制限、を主な内容とする新金融規制案が発表された。「オバマ・ショック」として受け止められたこの規制案は、経済回復諮問会議の議長を務めるボルカー元FRB議長の意向を強く反映したものとされ、金融界の強い反対やガイトナー財務長官が消極的であったとされるが、結局10年7月に議会を通過し、オバマ大統領も署名し成案化された。一方、国際決済銀行(BIS Bank for International Settlements)のバーゼル銀行監督委員会に参加する日米欧など27カ国・地域の中央銀行などは、09年9月、銀行の自己資本規制の強化で合意し、自己資本のうち、株価の変動の影響を受ける有価証券の含み益などを除いた資本金や剰余金などの比率を示す「中核的自己資本比率」の構成を、普通株と利益余剰金で構成するように求めた。