ソブリンとは国債などの公的機関の債務のこと。2009年末ころからのギリシャやスペインなどにおける財政不安を契機に、国家自体への融資のリスクについて金融市場で懸念されだした。同義語としてカントリー・リスクがあるが、ソブリン・リスクは政府債務の信認として限定されて使われることが多い。この背景には、08年9月のリーマン・ショック以降の欧米諸国における経済の悪化に対して、大規模な財政政策が発動され、財政赤字が膨らんだことがある。特に、ユーロ諸国の債務に関して市場での関心が高まっている。日本の公的債務残高は、09年末に882兆円、10年度末には973兆円に達する見込みであり、11年1月27日にはアメリカの格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が日本の長期国債を1ランク引き下げたものの、そのニュースは冷静に受け止められ、日本に対するソブリン・リスクは顕在化していない。構造的には日本国債は基本的に国内で保有されていること、日本には豊富な対外純資産や外貨準備高があること、また短期的には長期不況下で金融機関が貸し出しに代わって国債を積極的に保有していること、外国為替市場での根強い円高期待、などがある。ただし、市場での日本の財政状況への潜在的な危機意識は常にあり、「リアルタイム財政赤字カウンター10」(http://www.kh-web.org/fin/)では、刻々と増加する日本の債務残高状況を表示している。