2008年9月のリーマン・ショック以降の景気浮揚策で悪化した財政状況を改善させるため、10年6月にカナダで開かれたトロント・サミット首脳宣言(G20)で示された。先進国は13年までに財政赤字を「半減」させ、16年までに公的債務の国内総生産(GDP)比率を安定させることが目標とされている。しかし、「各国の状況に即して差別化された信頼に足る適切な段階を設けかつ成長に配慮した財政健全化計画の必要性」(G20トロント・サミット宣言文、外務省仮訳より)とあるように、各国の状況により異なる目標が設定される。日本はG20宣言の先進国の目標から適用除外された。日本においては、10年6月22日の閣議で財政運営戦略が決定され、G20で了承された。財政運営戦略では15年までに基礎的財政収支(プライマリー・バランス、GDP比)赤字幅を10年度水準から半減させ、遅くとも20年度までに黒字化することとされている。G20宣言の目標と異なるのは、日本の場合、13年までに半減するには3年間で20兆円以上の削減が必要になるが、現状40兆円程度の赤字に苦しむ財政状況では、現実問題として困難なことが背景にある。