ギリシャの信用不安を受けて、EU(欧州連合)が打ち出した、一連の金融監督体制。まず2010年5月に、総額7500億ユーロに上る緊急対策として、EU諸国の資金繰りを支援する基金を創設する「欧州金融安定化メカニズム」を策定した。また、ヨーロッパの金融機関91行に対して資産査定(ストレス・テスト)を実施し、経済成長の下振れ、銀行の保有する国債の価格暴落のシナリオの下で、「中核的自己資本」比率が6%を下回ると判断されたスペイン、ドイツ、ギリシャの7行に対して、資本増強を命じた。さらに、11年1月以降、(1)銀行、保険、証券それぞれの分野ごとに個別金融機関の監視を行う欧州監督機関(ESA)を新設、(2)ESAから提供される個別金融機関の情報を基に、金融システム全体の監視・金融システムのリスクの警告を行う欧州金融監督システム(ESFS)を創設、(3)EU全体の金融市場を監視する欧州システミックリスク理事会(ESRB)を創設、を3本柱とする新金融監督体制を構築する。これによって、連邦準備制度理事会(FRB)主導の金融監督体制の確立したアメリカと同様、金融監督を一元化することになる。