アメリカの元連邦準備制度理事会(FRB)議長ポール・ボルカーが提唱した、金融機関への規制項目。大恐慌後の1933年に成立した、銀行と証券の業務分離を定めたグラス・スティーガル法から約80年ぶりの2010年7月に成立した、大幅な規制強化を掲げるアメリカの金融規制法に盛り込まれた。内容は、大手金融機関による自己資金による高リスク取引の制限、ヘッジファンドへの投資の中核的自己資本の5%以下への抑制など。金融規制法はそれらに加えて、(1)大手銀行、証券、保険を含めた金融機関の監督権限のFRBへの一元化、(2)財務省、FRB、連邦預金保険公社(FDIC)などの規制当局で構成する「金融安定化監督評議会」の創設、(3)FRB内に消費者金融保護局を設置、など。なお、グラス・スティーガル法は金融自由化の流れの中で1980年代から漸次骨抜きにされ、99年に完全に廃案となっていた。