2009年10月にギリシャの財政赤字の規模が、当初公表(GDP比4%程度)より実際は高水準(同13%程度)との隠蔽が顕在化したことにより、同国の債務不履行(デフォルト)のリスク(ソブリン・リスク)が高まった。格付け機関は一斉に格下げを実施し、ギリシャ国債の市場価格は急落(利回りは急騰)した。ギリシャは欧州連合(EU)加盟国で単一通貨ユーロを導入していることから、他の財政赤字の際立つ国(アイルランド、ポルトガル、スペイン、イタリアなど)にもその影響が波及し、ユーロ圏17カ国全体の信用危機として問題が拡大した。ギリシャに対してヨーロッパ諸国は10年5月に第1次支援、11年7月に第2次支援を実施し、波及の抑制に努めている。しかしながら、第2次支援で民間金融機関の負担が生じたことから、実質的なデフォルトに陥ったとの評価で、格付け会社ムーディーズはギリシャの長期国債の格付けをCaa1から3段階格下げして、下から2番目のCaとした。Caの定義は、「非常に投機的であり、デフォルトに陥っているか、あるいはそれに近い状態にある」だが、ムーディーズはさらに12年3月には、一部デフォルトを示すCaから「デフォルトに陥っている」ことを示す最下位のCに引き下げた。