日本と同じく自国通貨高に苦しむスイスの中央銀行であるスイス国立銀行は、2011年9月6日、過度なスイス・フラン高を抑制するため、1ユーロ=1.2フランをフラン高の上限目標とし、それを上回るフラン高が進んだ場合は、無制限にフラン売りの為替介入をすると発表した。将来、為替目標を下げる可能性も示唆したが、結果的には、外国為替市場では実際の為替介入なしにスイス・フラン高対策が成功した例として評価されている。スイスは、輸出の6割が欧州連合(EU)向けであり、また世界の通貨の売買に占めるスイス・フランのシェアは6.4%と低く、日本円がシェア19%であるのとは対照的に、為替介入が相場を動かす可能性が相対的に高い。しかし、スイス・フランが市中に出回り、貨幣量が膨張すればインフレを招くリスクがある上、もし介入にもかかわらずフラン高を止められなければ、スイス国立銀行が購入した外貨の評価損も無制限に膨らむことになる危険性はある。