アメリカでの強制的な歳出削減と時限的な減税停止による実質増税により、崖から落下するように急激な緊縮財政となり、景気が悪化すること。アメリカでは2008年のリーマン・ショック後の景気低迷に対応して、2000億ドル規模の減税が12年12月末まで実施された。しかし減税により財政赤字が拡大し、11年8月に民主・共和両党が政府の歳出を大幅に削減することに合意。具体的な削減案の合意に至らなかった場合は、13年1月から国防費を中心に10年間で最大1兆2000億ドル(約99兆円)の歳出が強制的に削減されることとなった。歳出削減が実施されない場合には、減税停止による実質増税と強制歳出削減により、13年1月から最大約4100億ドル(GDP比2.7%)の財政緊縮になるとの試算がある。
崖転落を避けるため、期日前日の12年12月31日に民主・共和両党の合意がなされたが、法案成立は1月1日にずれ込み、1日とはいえ年越しと同時にアメリカはいったん崖から転落した。年末の合意は、中・低所得者のみ減税を継続させることと、政府支出の強制削減措置の2カ月間延長であり、3月には再び崖転落の懸念が残っている。