原油価格の下落が、原油生産国の経済活動に悪影響を与える状況。原油価格は、アメリカでのシェール革命により原油供給能力が向上する一方、中国などの原油需要国での経済成長の鈍化などから、世界的な需給バランスが壊れ、2015年1月には原油価格の代表的指標であるWTI先物価格は5年8カ月ぶりに48ドルを割り込んだ。14年11月に石油輸出国機構(OPEC)が減産を見送ったことも、下落傾向に拍車をかけた。
原油価格の下落は、日本など原油消費国にとっては、原材料費の引き下げとなり収益環境を好転させる。しかし、産油国にとっては、原油からの収益への依存率が高いほど、国内経済を悪化させる。特に、ロシア(連邦予算の5割を依存)やナイジェリア(政府歳入の7割を依存)などでは、財政赤字につながり、これが国内景気を悪化させる形となっている。国内経済の悪化は当該国の通貨を減価させて、それが輸入物価の上昇を引き起こし、国内のインフレの悪化となってくる。
1986年には当時30ドル台だった原油価格が半年程度の間に10ドル割れへと急落し、ソ連崩壊を早める遠因になったとされており、原油価格暴落の影響が懸念されている。