2015年8月、中国人民元の実質的な切り下げ(通貨安方向への通貨単位の引き下げ)が、前触れもなく実施された。中国経済の減速は既に観察されていたが、急な人民元の切り下げにより中国当局が人民元を通貨安に誘導して国内経済を下支えするとの観測が流れ、世界同時株安へとつながったことから、人民元ショックと呼ばれた。株式市場の動揺はその後も収まらず、欧州経済の鈍化、原油安も加わり、16年2月時点でも世界的な株安傾向が続いている。自国通貨の切り下げ(通貨安)は輸出を増加させる誘因となることから、輸出誘導による国内景気の下支えを企図したとみられる。