2012年度の税制改正は11年12月10日に政府税制調査会において税制改革大綱が決定され、12月24日に一部修正のうえ税制改革大綱が閣議決定された。今回の税制改正は、住宅取得の贈与税減税の延長や省エネ住宅の住宅ローン減税の拡充などで、あまり大きな改正は行われておらず、従来の特例を延長するといった部分的な改正にとどまっている。それには、与野党の議席数の逆転によるねじれ国会によって法案の成立が困難になったという背景がある。たとえば、11年度の税制改正のうち、租税特別措置の見直しなどについては11年6月、法人税率の引き下げなどについては11月末まで成立が遅れてしまった。さらに、地球温暖化対策のための石油石炭税上乗せ部分については、11年度の税制改正で提案されていたにもかかわらず、時間切れで実現していない。この地球温暖化対策は、12年度税制改正で改めて提案されている。反対に、本来この税制改革で取り入れておかなければいけない消費税や所得税に関する税率引き上げの具体的スケジュールなどについては「社会保障と税の一体改革」に先送りされた。実際、野田佳彦首相を本部長とする社会保障改革本部で12年1月6日に発表された「社会保障と税の一体改革大綱素案」の中で消費税の引き上げのスケジュールなどが示されている。