民主党がマニフェストに掲げた重点政策の一つで、販売価格が生産費を恒常的に下回っている作物を対象としてその差額を交付することによって、農業経営の安定化と国内生産力の確保を図り、さらに戦略作物への作付け転換を促す制度。2010年5月からモデル事業が実施され、11年度から本格的に実施された。すなわち、(1)米の所得補償交付金及び米価変動補填交付金、(2)水田活用の所得補償交付金、(3)畑作物の所得補償交付金、などの形で支払われる。たとえば、米の所得補償交付金については販売農家・集落営農であれば経営規模にかかわりなく、10アール当たり1万5000円が直接農家や集落に交付される。12年度もほぼ11年度と同じ形で実施されることになっている。この農家所得補償制度は経営の効率化を図ることは求められていないので、非効率な兼業農家に有利な制度となり、兼業農家から土地を借りて大規模化を図っていた専業農家は兼業農家に土地を返却せざるをえなくなるなど、様々な問題を含んでいることが明らかになってきた。