公共事業関係費は、公共的な土木工事や営繕工事などの事業への支出であり、内訳は治山・治水、道路・港湾の整備、住宅や下水道建設、防災・災害復旧、などである。2014年度本予算案では、公共事業関係費は5兆9685億円となり、13年度本予算を6832億円(伸び率12.9%)上回った。民主党政権時代「コンクリートから人へ」のキャッチフレーズの下、公共事業関係費は削減され続けていたが、安倍晋三政権は景気対策や国際競争力強化などを目指して公共事業関係費に重点配分したことにより、2年連続の増額になった。具体的には、首都高速道路の橋脚など老朽化した社会インフラの補修・更新、20年東京オリンピック開催などによる都市インフラの整備・強化、首都直下型地震や南海トラフ巨大地震への対策や大規模な洪水被害防止などの国土強靱化対策などである。ただし、社会資本整備特別会計の廃止などにより14年度から国の会計ルールが変更され、地方自治体が払う公共事業の負担金の区分が特別会計から一般会計に移ることになった。したがって、一般会計に統合された特別会計改革分を除くと、公共事業関係費は5兆3518億円にとどまり、13年度の5兆2496億円に比べ1022億円の増額(伸び率1.9%)に過ぎない。さらに、公共事業関係費の12年度補正予算(2兆4426億円)と13年度本予算を合計した15カ月予算の額は7兆7279億円であったのに対し、13年度補正予算(1兆0392億円)と14年度本予算を合計した15カ月予算の額は7兆0077億円であるため、7202億円の減額になってしまう。しかも、特別会計廃止による増額分を除くと1兆3012億円の減額になる。したがって、公共事業関係費は単純に増額されたとはいえないことに注意する必要がある。なお、資材価格の高止まり、現場の人材不足、人件費の高騰などにより公共工事の入札が不調になっており、予算が順調に消化できない心配が指摘されている。