WTO協定の実施、新通商交渉ラウンドの準備、など多角的貿易自由化を推進することを目的として創設された国際機関。戦後にできたGATT(関税と貿易に関する一般協定)は、その名の通り、実体としての機構を持たない「協定」であったが、1994年4月のマラケシュ閣僚会議の交渉での合意に基づいて、95年1月からGATTの「機構」への格上げが決定された。すなわち、WTOの誕生である。もともと、第二次大戦後、安定した国際経済体制を築くために、金融面の柱である国際通貨基金(IMF)、世界銀行と並んで、貿易面の柱となるべき国際貿易機関(ITO)を設立する構想があり、GATTに定められたルールはITO憲章の一部を構成するものであった。ところが、ITOはアメリカ議会が成立に反対したために実現しなかった。ウルグアイ・ラウンドにおけるWTO設立の決定は、GATTの組織を強化する上での大きな一歩であった。