2001年11月14日、カタールの首都ドーハで開かれたWTO(世界貿易機関)の閣僚会議で発足が決定されたラウンド。同会議では、貿易自由化を推進する新ラウンドの開始をうたった閣僚宣言ドーハ開発アジェンダ(Doha Development Agenda)を採択した。07年7月に米大統領の貿易促進権限が失効し、その後は次期大統領の政権まで成立が困難になるというタイムリミットを念頭に、06年12月末を最終合意期限と目標を設定して、これまで新ラウンドの交渉は進められてきた。しかし、06年6月の閣僚会合決裂を受け、7月の主要国首脳会議(サンクトペテルブルク・サミット)で緊急性を強調した特別声明が出されたにもかかわらず、7月末にジュネーブで開かれた閣僚会議は決裂した。この結果、目標とされてきた年内の最終合意は不可能となり、次期米大統領の政権誕生まで交渉が2~3年凍結される見込み。もともと新ラウンドの交渉については、三つの難関が存在する。アメリカや途上国が要請する農産品関税削減に対して、日本、EU(欧州連合)が抵抗していること、他国からの農業補助金削減の要請に対してアメリカが抵抗していること、および先進国の鉱工業品関税削減の要請に対して途上国が反対していること、である。06年5月には、EUが農産品関税削減率を高める歩み寄りの姿勢を見せたが、6月の閣僚会合ではアメリカの強硬な姿勢により交渉が決裂した。