WTO新ラウンドの一つの柱。交渉は難航している。交渉の二つの争点は、アメリカや途上国が希望する農産品関税削減にEU(欧州連合)、日本などが抵抗している問題と、他国からの農業補助金削減という提案にアメリカが抵抗している問題。農産品関税削減については、農産品関税を100%以下にする上限関税(あらゆる農産品の関税率に上限をもうける取り決め)という途上国の提案が一つの焦点。米欧がこれを容認したのに対して、こんにゃくいもの1500%以上の関税など、高関税の品目を多く抱える日本が反対。関税削減の規模については、大幅なものを求めるアメリカと、小幅なものにとどめたい日欧の考えの間を取って、平均54%という途上国の提案する削減率が一時は交渉の軸となった。2006年5月にEUは50%の削減率を提示することで歩み寄りを示したが、6月の閣僚会議ではアメリカが削減率について強硬な立場を貫き、農業補助金(農業の輸出に対して支払われる政府の補助金)を200億ドル以下に削減するという提案もけったので、交渉が決裂した。