アメリカの経済学者ポール・ローマーが経済理論モデルとして定式化した、経済成長の源泉を経済活動から生まれる「学習効果」に求める理論。1980年代までの経済理論の中心的な考え方は、発明や技術進歩といった経済にとって「外生的」である要因によって、経済の長期的な成長率が決まるとしていた。これに対して、ローマーは、80年代後半に、長期的な経済成長率は経済活動の結果によっても影響されるという、「内生的な経済成長の理論」を提唱した。経済成長につながる最も重要な経済行為である投資が、外生的要因の変化がないかぎり、収穫逓減(資本の蓄積を過度に進めれば資本の収益率が低下するという法則)によって停滞に陥るという標準的な考え方に対し、ローマーは経済活動の拡大によって引き起こされる学習効果に注目し、この効果が働くかぎり投資が収穫逓減につながらず、その結果、持続的な経済成長が可能となることを理論モデルによって明らかにした。この理論は、その後、国際貿易や開発の問題に適用され、「持続的な経済成長を可能にする」通商政策、直接投資政策についての議論が大いに沸き起こることになった。