貿易に際して、取引産品の原産国を明確にするための規則。自由貿易協定(FTA)が結ばれ、ある産品に低い関税が課される場合に、それがFTAの締約国で生産されたものであるとの証明書が必要で、特定原産地証明書とよばれる。農産品では原産国の判断は容易だが、たとえば自動車のように2万点を超す部品から製造される鉱工業品では、締約国以外からも部品を輸入して組み立てが行われたりする場合もあり、原産国の判断が難しい。そこで、その判定基準として、使用された部品の関税番号と産品の関税番号が異なる分類に属することになればその国を原産国とする関税分類変更基準、最終製品価値に何%の付加価値を加えたかで判断する付加価値基準、産品の特性を変える生産・加工作業が行われた国を原産国とする加工工程基準の三つの原産性判断基準が採用されている。証明の仕方としては、第3者審査方式と自己証明方式がある。日本では、商工会議所が前者の方式で証明書を発給するが、手続きが煩雑な上に書類作成のコストも高いため、利用されないケースが多く、FTA締結の利点を活用するためにも、改善が望まれている。