関税や輸入制限などにより、自国産業の保護を図ること。2008年9月のアメリカの金融危機に端を発した世界的な経済の減速と市場規模の縮小では、保護主義の台頭が懸念された。1929年の世界恐慌では、各国が関税引き上げやブロック経済化の推進による自国産業の保護を図った結果、世界貿易の縮小と経済の悪化をまねき、その混乱は第二次世界大戦のきっかけともなった。これを教訓に、2008年11月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議では、保護主義につながる新たな障壁設置を今後1年間控えるなど、自由貿易体制の堅持を明記した特別声明を出したほか、09年1月のダボス会議でも、貿易保護主義への懸念が各国から表明された。半面、自国自動車産業への支援など、各国が保護政策を実施しており、WTO(世界貿易機関)が実施した緊急調査では、08年11月から3カ月間で19件の保護貿易措置が判明している。アメリカでは、議会が景気対策法案の審議過程で、アメリカ製品の購入を義務づけるバイ・アメリカン条項を盛り込んだために、世界的な懸念を引き起こされ、これを受けて、国際協定順守を明記した修正案が可決された。