日本が締結を推進する自由貿易協定の一形態。WTO(世界貿易機関)の加盟国は2008年8月現在で153カ国あり、加盟国の増加は、WTO新ラウンドの難航が示すように、多国間の通商交渉での合意形成を難しくしている。このため、2国間、あるいは地域間での自由貿易を生み出す自由貿易協定(FTA)の締結に注力する国家・地域も増加し、WTOへの通報数は08年12月で230件を数える。アメリカは1994年に創設された北米自由貿易協定(NAFTA)をモデルとして、ラテンアメリカなどへ適用を志向している。EU(欧州連合)は、域内統合モデルを近隣諸国へ拡大している。アジアでも、ASEAN+3のほか、ASEAN+6によるEPAも模索されている。日本も、「経済財政の基本方針2008(骨太の方針08)」のなかのグローバル戦略で、2009年初めまでに締約国・地域を12以上にするとの方針を打ち出している。経済連携協定(EPA)は、交渉、署名、発効というプロセスを経るが、日本のEPAの進捗(しんちょく)状況をみると、09年1月現在、発効済みがシンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシア、ブルネイ、ASEAN全体、フィリピンの9カ国・地域、署名済みがベトナム、大筋合意がスイスとなっている。また、交渉段階にあるのは、韓国、GCC(湾岸協力会議)、インド、オーストラリアとなっている。ジェトロ・アジア経済研究所の07年の調査によれば、日本のFTAがめざすべき点として、貿易比率が34%と高い中国とアメリカ、この2国とのFTAの重要性があげられている。