2003年に、日本に投資を呼び込む目的で小泉純一郎首相(当時)が掲げたキャッチフレーズ。5年間で対日投資の倍増を目標とし、06年には、10年までに投資残高の倍増GDP比5%程度とする「対日直接投資加速プログラム」を策定した。08年5月に、対日直接投資の促進を具体的に検討する対日投資有識者会議(08年1月に対日投資会議廃止を受けて発足)が、再びこのことばを掲げた提言をまとめた。直接投資は、株式や債券のキャピタルゲイン(価格変動にともなう売買差益)を目的とした投資ではなく、工場建設や企業買収などの事業を目的とした外国からの投資のことで、投資先に新たに法人や生産設備を設立する形と、M&A(企業の合併・買収)による形に大別できる。海外からの投資呼び込みは、日本経済の活性化には不可欠とされるものの、欧米と比べて対日直接投資残高は極端に低い。ジェトロ(日本貿易振興機構)の08年資料によれば、07年の残高は15.1兆円、対GDP比で2.9%に過ぎず、アメリカの13.5%、イギリスの47.8%、ドイツの17.4%、フランスの35.0%(いずれも06年)から大きく見劣りがする。対日投資有識者会議の提言は、投資のさらなる拡大をめざしたもので、これをもとに「経済財政改革の基本方針2008(骨太の方針08)」ではM&Aの円滑化に向けた制度整備、外資規制のあり方の包括的検討などが盛り込まれ、「対日直接投資加速プログラム改定版」が決定された。しかし、08年は、4~10月の直接投資額は前年同期に比べて約4割減少するなど、金融危機の影響で対日直接投資に急ブレーキがかかっている。また、最終的に外資の出資制限には至らなかったものの、成田空港会社への出資をめぐる一連の外資規制論議など、心理的な抵抗感の根強さを印象づける出来事も起きた。