日系の海外子会社が現地企業と契約する場合の保険の対象として、現地企業から代金回収ができなくなった場合に独立行政法人日本貿易保険(NEXI)が補填(ほてん)できるシステム。これまで貿易保険の適用は日本の本社が現地企業と直接契約する必要があった。しかし、近年は海外の子会社が現地企業にインフラを売る場合が増えているため、海外へのインフラ輸出を新成長戦略の柱の一つとしている政府は、2010年にこうした事例での貿易保険の適用を可能とした。また、貿易保険を使った投資支援策として、金融機関に貿易保険を付けた融資債権の証券化を認めた。三井住友銀行が持つ200億円超のメキシコの石油開発向け債権の証券化が最初の適用例となった。制度の変更で約2兆5000億円分の貿易保険が証券化できるようになった。金融機関にとっては資金確保とともに長期になる債権を貸借対照表から切り離せ、また、配当の支払いリスクは低いため、長期安定運用を望む投資家ニーズにも応えることができる。なお、政府はインフラ輸出として鉄道、水道、原子力発電などを挙げており、原発についてはベトナムが計画する第2期プロジェクトの2基の受注に成功した。