企業や投資家が投資先の国家の政策で損害を受けた場合に、相手国政府に対する損害賠償を国際仲介機関に訴えることができる、という取り決め。国家間で締結される投資協定や自由貿易協定などに盛り込まれ、政府による国有化や、自国以外の企業への規制などによる不当差別といった恣意的な政治介入への対処を目的とする。仲裁手続きは世界銀行の投資紛争解決国際センター(ICSID)や国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)の国際的で公平なルールに基づき、進められる。海外への投資額が大きな日本では、これまで締結した投資協定や経済連携協定(EPA)の多くにISD条項を盛り込んでいる。国連貿易開発会議(UNCTAD)によれば、公表された投資家と国家の投資仲裁は、1987年から2010年末までに累計390件に及び、うち245件がICSIDに付託され、109件がUNCITRALの手続きを利用している。