鉄道や道路、上下水道などの社会資本を輸出する事業のこと。インフラの設計から資材調達、建設工事までを一括して請け負うEPC事業(EPC方式 Engineering Procurement and Construction)、インフラ案件の計画段階から建設、保守・点検まで一括して輸出するパッケージ型インフラ輸出などがある。新興国の経済発展にともない、世界的にインフラ需要は急拡大している。そのなかで、資金計画から完成後の管理運営までを一体化して発注する大型案件への注目が集まり、韓国、中国などのように、国家をあげて受注競争に取り組むケースも増えた。こうした動きに対処するため、2010年6月、日本政府は「新成長戦略」の柱の一つとして、「パッケージ型インフラ海外展開」を国家戦略プロジェクトに位置づけた。そして、国際協力銀行の投資対象の拡充、日本貿易保険による事業リスク補てん範囲の拡大、インフラファンドの設立、投資支援、トップ外交の推進、オールジャパン体制の構築からなる競争力強化策が打ち出された。さらに、12年6月には、国内外での連携強化を始めとして、国際競争力向上への取り組みを抜本的に強化するための「パッケージ型インフラ海外展開促進プログラム」がまとめられた。これまで、ベトナムへの原子力発電所輸出、インドのデリー・ムンバイ産業大動脈構想、インドネシアの首都圏整備計画、メコン地域諸国のインフラ・貿易を支援する「東京戦略2012」など、一定の成果を上げている。