欧州連合(EU)とアメリカ間の包括的な自由貿易協定(FTA)。2013年2月に交渉開始を表明した。交渉が成立すれば、世界の国内総生産(GDP)の約半分、貿易額の約3分の1を占める巨大な経済圏が誕生することになる。13年7月に第1回交渉が開始され、その後、14年末の妥結を目標に、11月第2回、12月第3回と交渉が重ねられている。経済成長、雇用の拡大など、双方にとってメリットは大きい。しかし、例えば開始前の段階でハリウッドの進出を警戒するフランスが映像、音楽を交渉対象から外すように強硬に主張し、一時は交渉失敗が懸念されるなど、乗り越えるべき課題は多い。遺伝子組み換え作物をめぐる規制など、各論での隔たりも大きい。これまで、FTAは2国間FTA、多国間FTA、地域FTAと拡大する傾向があったが、TTIP、環太平洋経済連携協定(TPP)、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)など、メガFTAの時代に差しかかりつつあるといえる。