2015年に東南アジア諸国連合(ASEAN)が創設する経済統合のこと。1997年のアジア通貨危機を背景に構想が打ち出され、当初は2020年設立を目標としたが、07年に15年に前倒しになった。07年にはAEC設立に向けた中長期的な取り組みを示す行程表AECブループリントが採択された。ブループリントは、AECを(1)単一の市場と生産基地、(2)競争力のある経済地域、(3)公平な経済発展、(4)グローバル経済への統合、の4分野を体現すると定義し、17の中核要素と176の優先事業の実行を加盟国に義務付ける。また、その進捗状況を点検評価するため、AECスコアカードが作成されており、達成度に向けた進捗状況は、11年12月67.5%、13年8月79.4%となっている。ASEANにおける経済統合としてはアセアン自由貿易地域(AFTA)が存在する。AFTAは10年には原加盟国6カ国間の域内関税が例外品目を除きほぼゼロに引き下げられ、15年には後発組4カ国の関税もほぼゼロとなる。AECはこのAFTAによるモノの自由化を中心としながら、さらにサービス貿易の自由化、投資の自由化、貿易円滑化や相互承認などの非関税障壁の撤廃といった、より高い水準の包括的な経済統合をめざしたものといえる。しかし、各加盟国間の政治体制の違い、異なる経済発展の水準など、実現に向けた課題も多い。