世界貿易機関(WTO)が進めるWTO新ラウンド(ドーハ・ラウンド)初となる合意。2013年12月3~7日までインドネシアのバリ島で開催された第9回WTO閣僚会議で、8交渉対象分野のうち貿易円滑化、農業の一部、開発の3分野で合意に達した。各分野の合意は、「貿易円滑化」では、窓口の一本化など通関手続きを簡素化・標準化し、規制の事前公表など透明性を高めること、「農業の一部」では、関税割り当て制度の運用の透明性向上と未消化分の運用改善と開発途上国の貧困層支援に関係する農業補助金は削減対象から暫定的に除外することが柱、「開発」は、後発途上国に対する無税で割当枠無しのアクセスの確保、後発途上国に対する簡素で特恵的な原産地ルールの適用、開発途上国への優遇措置監視のためのモニタリング・メカニズム立ち上げなど、となっている。今回の部分合意は、比較的交渉が進み合意しやすい分野と見られていたが、それでも農業補助金をめぐる交渉でインドとアメリカが激しく対立するなど、交渉は難航した。先進国と途上国で鋭く対立する鉱工業品や農業の関税削減など主要分野の交渉は進んでおらず、ラウンド全体の合意への見通しは立っていない。