世界貿易の伸び率が経済成長率を下回る現象のこと。その原因として循環要因と構造要因、二つの解釈がある。循環要因は、景気に左右される要因で、たとえばリーマン・ショックによるヨーロッパの経済危機や、中国の景気減速による貿易の停滞などがあげられる。構造要因は、バリューチェーン(多数の国をまたがって築かれた効率的な生産網)の構築の動きが、発展途上国のコスト増などにより停滞したこと、また、中国のように国内での原料、資本財の調達が進み、輸入の必要が薄れたり、製品を輸出せずとも国内で賄えるようになったことなどがあげられる。中国の消費構造、生産構造が投資から消費へ、製造業製品の需要からサービス業製品の需要へと変化したことも指摘されている。2012年以降16年までスロートレードは続いたが、17年には世界全体での景気回復、とくに中国の景気拡大が牽引する形で貿易量が急増し、貿易の伸び率が経済成長率を上回る、との見方が広がっている。