財産の保有者が、信頼のできる人や法人(受託者)に財産の権利を引き渡して、管理運用などを委託する制度。第二次世界大戦前には、1922年の信託業法に基づく信託会社が多数存在したが、戦後になって統合再編が進められて専業信託はなくなり、銀行免許を持つ金融機関が信託業務の兼営に関する法律による認可を得て信託業務(不動産・年金の管理運用、遺言の保管実行、資産流動化など)を兼営する信託銀行のみになっていた。約80年ぶりに全面改正され、2004年末に施行された改正信託業法では、金融機関のみならず一般企業も信託業務に参入できるようになったほか、金銭・有価証券・土地など6種類に限定されていた受託財産に関する規制が撤廃され、特許権や著作権などの知的財産も信託できるようになった。また、これまで銀行や信用金庫に限定されていた信託代理店業務が、証券会社、リース会社などにも開放された。さらに、1922年に制定された信託の基本法である信託法についても、信託宣言(自分で自分の財産の受託者になれる制度)、事業信託(資産と負債をセットで丸ごと信託できる制度)など新しい信託形態を認める抜本的改正案が2006年の臨時国会で成立した。