ある企業にとって借入残高のシェアがもっとも高い主力銀行のこと。第二次世界大戦後には、日本の主要企業の多くは、たとえば旧財閥や企業系列の中で、特定の銀行(とりわけ都市銀行)をメーンバンクとしてきた。メーンバンクは、株式持ち合い(会社同士が相互に株式を持つこと)を通じて企業にとって主要な株主となり、企業が社債を発行する場合には受託銀行(募集事務や担保の管理事務を行う銀行)を兼ね、企業に役員を派遣して経営・財務に介入したりする事例が少なくなかった。また、企業が経営危機に陥った際には緊急融資を行って再建計画を立て、企業が破たんした際はもっとも大きな負担を負うなど、企業と関係を有する多数の金融機関のなかで主導的な役割を演じてきた。1980年代後半のバブル期までは、このような日本のメーンバンク制度が、長期的な視点から日本企業の発展を支えたとして高く評価する意見が大勢であった。しかし、90年代に入ると、バブル崩壊とともに多くの銀行や企業が経営危機に陥り、メガ・マージャーを実施した銀行グループを中心として株式持ち合いの解消が進むなど、メーンバンク制度もまた崩れつつある。