金融に関連した情報関連技術(information technology)や投資技術(investment technology)の総称。両方とも略称はITなので、「二つのIT」ともよばれる。もっとも、インターネットをはじめとした情報関連技術の方が脚光を浴びており、「IT革命」という時には、情報技術革新による経済社会の革命的な変化のことを意味するようになった。日本の金融においても、インターネットを利用して預金・送金などの銀行業務を行うインターネット・バンキングや、インターネットを利用して証券売買を行うオンライン・トレーディングなどが一般化しつつある。一方、投資技術とは、ポートフォリオ選択理論(トービン=マルコビッツによる平均・分散モデル)、社債や株式などの資産価格評価理論(たとえばCAPMと略称される資本資産価格評価モデル)、デリバティブの価格理論(たとえばオプション価格に関するブラック=ショールズ・モデル)などに関係するものである。投資技術は、伝統的な学問の領域としては、確率論、統計学、数学、経済学など幅広い分野にまたがっており、最近では投資技術に関係する学問領域を金融工学(financial engineering)と称するようになっている。