家計、企業、政府などの経済主体の間における資金の流れ。貯蓄が投資を上回る主体は、余剰資金を金融市場で運用して金融資産を増加させる一方、投資が貯蓄を上回る主体は、不足資金を金融市場で調達して金融負債を増加させる。資金循環統計により、各経済主体が、たとえば各年中においてどのような形で、金融資産ないしは金融負債を増加(あるいは減少)させたのかを把握することができる。日本銀行は、1954年以降、日本の資金循環統計を作成・公表しており、99年には同統計の大幅な見直しを行った。50年代後半以降の高度経済成長期における日本の金融構造(すなわち、資金循環構造)は、家計部門の大幅な余剰資金と企業部門の大幅な不足資金によって特徴付けられたが、70年代後半以降の安定成長期には企業部門の不足資金が目立って縮小した。さらに、90年代後半には、バブル崩壊の後遺症によって企業の投資が低迷し、企業部門が余剰資金を出すに至っている。