東京都が買収したパリバ信託銀行を母体に1000億円を出資して2004年4月に設立した銀行。石原慎太郎東京都知事が、2期目にあたる03年の都知事選挙の際に、金融機関の貸し渋りで苦しむ中小企業を救済する狙いで設立を公約し、同年11月に発表した基本計画書では、「担保や保証にとらわれない融資」、「融資案件のスピード審査」などをうたっていた。しかし、05年4月開業後は、地方銀行中位行並みの総資産1兆6000億円を3年間で目指すという過大な拡大志向と財務データに基づくスコアリングモデルに過度に依存した甘い審査体制が裏目に出て、多額の不良債権処理を余儀なくされ、08年3月期決算までの累積損失額は1016億円にのぼった。このため、08年4月には東京都が400億円の追加出資を実施して経営再建に乗り出したが、その後も中小企業向け融資の不良債権化が続いており、先行き予断を許さない状況である。同年12月には、金融庁が新銀行東京に対して業務改善命令を発出した。