日本銀行が、日本経済の成長力を高める観点から、2010年6月に導入した新しい貸出制度。金融機関による成長基盤強化に向けた融資・投資の取り組みに応じて、当該金融機関に対して長期(最長4年)かつ低利(政策金利、ただし当面は0.1%)の資金を有担保で供給する。12年3月末を受付期限として総額3兆円(1金融機関ごとの上限1500億円)の枠を設定している。なお、12年3月13日の金融政策決定会合で、受付期限の14年3月末への延長と3兆5000億円への貸付枠増額を決めた。新貸出制度の対象分野として例示されているのは、研究開発、起業、事業再編、アジア諸国等における投資・事業展開、大学・研究機関における科学・技術研究、社会インフラ整備・高度化、環境・エネルギー事業、資源確保・開発事業など18分野である。日本銀行は、個別の企業や業種への資金配分に直接関与しないとしているものの、一種の政策金融であり、中央銀行としての本来の使命を逸脱していると批判する向きが少なくない。なお、日本銀行が新貸出制度の導入に踏み切った理由として「デフレーションの原因は潜在成長力の低下にある」と主張しているのは、一種の責任転嫁という印象を与える。